[2-P1-P20] Streptococcus mutansのバクテリオシンnukacin に対する新規耐性因子の同定

Author: 〇松尾 美樹、Le Mi Nguyen-Tra、小松澤 均
Affiliation: 広島大 院医系 細菌学教室
Abstract: 口腔内では複雑な細菌叢が形成されているが、口腔細菌叢は個体差があり、この個体差は生活環境などに起因することが示唆されているが、詳細は明らかではない。口腔細菌叢の主要な構成細菌であるレンサ球菌は抗菌性因子であるバクテリオシンを産生することが知られていることから、私達は細菌叢の多様性を規定する因子の1つとして、バクテリオシンに着目している。本研究では、当教室で分離したStreptococcus mutans 124株から、これまでに報告が少ないmutacinK8遺伝子保有株(K8+)23株に着目した。K8+株はmutacinK8生合成に関与する特異的な領域を保持しており、そのうち自己耐性に関与すると考えられるABCトランスポーターScnFEGがStaphylococcus属が産生するnukacinに対する新規耐性因子として見出された。mutacinK8遺伝子保有(K8-)株であるUA159ではABCトランスポーターであるLctFEGがnukacin耐性を担っていることが過去の研究で明らかになっている。K8+株、K8-株ともにlctFEGscnFEGを保持しており、ともに共通した二成分制御系 (TCS) に制御を受けており、このTCSの制御のもと、K8+株ではScnFEGが、K8-株ではLctFEGが各々nukacin耐性を担うことが明らかになった。さらに、K8+とK8-間でLctFEGとScnFEGのアミノ酸配列に特徴的な違いがあることが明らかになった。本研究ではmutacinK8を産生する株は見出すことはできなかったが、nukacinとmutacinK8は構造が似ていることから今回新規耐性因子として見出したScnFEGはmutacinK8自己耐性にも関与していることが考えられる。さらにmutacinK8遺伝子領域の有無が、LctFEGとScnFEGのアミノ酸配列の特徴的な違いに寄与している可能性が考えられる。

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