[2-P1-P21] 唾液中タンパク質の抗真菌作用と薬剤耐性解除作用の検討

Author: 〇福井 佳代子1、仲村 健二郎1、原 基1、二宮 一智1,2,3、桑島 治博1、今井 あかね4,5
Affiliation: 1日歯大新潟 薬理、2日歯大 新潟病院 総合診療科、3日歯大 新潟病院 口腔外科診療科、4日歯大新潟 生化、5日歯大新潟短大
Abstract: 【目的】
近年、薬剤耐性が問題となっている。抗真菌薬は種類や数が少ないため、感染症が増加し薬剤耐性となった際に大きな課題となる。昨年、我々は唾液中タンパク質、ラクトフェリンやシスタチンSの抗真菌作用や薬剤耐性解除作用などを報告した。今回、シスタチンC、卵白シスタチン、ロイペプチン、唾液中タンパク質であるムチンの抗真菌作用について調べた。
【方法】
微量液体希釈法において各薬剤のCandida albicans標準株に対する抗真菌作用を調べた。また、薬剤排出に関連する主要な7個のトランスポーター遺伝子を欠損したパン酵母Saccharomyces cerevisiae AD1-8u(親株)と親株の染色体にC. albicansのATP – Binding Cassette Transporter 遺伝子Cdr1 を組み込み高発現させたパン酵母S. cerevisiae AD1-8uCdr1(耐性株)を用いて、ムチンとアゾール系抗真菌薬フルコナゾールとの併用で微量液体希釈法において35℃、48時間培養し、吸光度を測定した。
【結果】
ムチンは、単独でC. albicans標準株に対して抗真菌作用を示した。シスタチンC、卵白シスタチン、ロイペプチンは、C. albicans標準株に対してシスタチンSと同様な抗真菌作用を示さなかった。卵白シスタチン、ロイペプチン、ムチンは、フルコナゾール併用で耐性株においてフルコナゾール耐性解除作用は認められなかった。
【考察】
ムチンには薬物耐性解除作用がないことが分かった。また、現時点で作用機序は不明だが、抗真菌作用を示すと考えられた。本研究により、シスタチンS、ムチンなどの唾液中タンパク質がC. albicansに対して抗真菌作用を示すことが明らかになり、新しい抗真菌薬開発の糸口になると考えられる。

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