[2-P1-P22] 遊離歯肉移植術により角化粘膜を付与したインプラント周囲の細菌叢構成の変化

Author: 〇柴崎 真樹1、下岸 将博1、渡辺 孝康2、丸川 恵理子1
Affiliation: 1医科歯科大 院医歯 口腔再生再建、2日大 歯 化
Abstract: インプラント周囲炎は天然歯における歯周炎と類似した疾患であるが、歯周炎に比べて疾患の進行速度が早く、効果的な治療法も確立されていないため、臨床において大きな脅威となっている。本疾患は、インプラント周囲の細菌叢を構成する細菌種のバランスが崩れることが原因と考えられており、上部構造の清掃性や、歯周炎などの口腔内局所の状況が影響することが明らかとなっている。その一つとして、インプラント周囲における角化粘膜の有無がインプラント周囲炎の発生率と相関することが報告されている。しかし、インプラント周囲における角化粘膜の有無が細菌叢の構成菌種に影響している可能性はあるが、細菌学的な検討はなされていない。そこで本研究では、インプラント周囲に角化粘膜のない2症例において、インプラント周囲炎を伴わない2部位と伴った5部位に対して、遊離歯肉移植術(FGG)を施し、治療前後におけるインプラント周囲細菌叢の変化を評価した。7本のインプラント周囲溝より治療前後でサンプルを採取し、高速シーケンサーにて細菌DNAの塩基配列を取得し、細菌叢の構成細菌とその存在比率を門レベルで同定した。全ての部位で存在比率の上位を占めていたのはFirmicutesProteobacteriaActinobacteriaFusobacteriaBacteroidetesであったが、治療前後で各部位の存在比率は異なっていた。また、同一口腔内でも、部位や炎症の有無によって細菌叢構成は異なっていた。骨吸収の顕著な部位において、術前ではSpirochaetesの存在比率が高値を示したが、術後減少していた。さらに、同一口腔内にある4本のインプラントにおいて、術後一様にActinobacteriaが減少していた。以上のことから、インプラント周囲における角化粘膜の有無が、周囲細菌叢の構成菌種に影響を与えている可能性が示唆された。

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