[2-P1-P23] ヒト口腔関連培養細胞におけるDectin-1の役割

Author: 〇猪俣 恵1、坂上 宏2、大森 喜弘1
Affiliation: 1明海大 歯 微生物、2明海大 歯 歯科医学総合研究所
Abstract: 口腔内で最も多く存在する真菌してCandida albicansが挙げられる。C. albicansの細胞壁には(1→3)-β-D-グルカンが含まれている。β-グルカンに結合し真菌の認識に関わる膜タンパク質としてDectin-1が同定されている。Dectin-1の欠損マウスはC. albicans等の真菌に対して易感染性となることから、真菌に対する感染防御に重要な役割を果たしていると考えられている。しかしながら、ヒト口腔関連培養細胞におけるDectin-1の役割は十分に明らかにされていない。本研究では、ヒト口腔培養細胞でのDectin-1の発現やDectin-1を介した同細胞への影響を調べた。
 Dectin-1がヒト口腔細胞に発現しているのかどうかを歯肉線維芽細胞、歯根膜線維芽細胞、口腔扁平上皮癌細胞ならびに歯肉扁平上皮癌細胞に着目してウェスタンブロッティングによって調べた。Dectin-1はすべての細胞において発現していた。歯肉線維芽細胞および歯根膜線維芽細胞においてzymosan (β-グルカンに富むDectin-1のリガント)の影響をリアルタイムPCRで調べた。Zymosanはケモカインであるinterleukin (IL)-8、サイトカインであるIL-1β、IL-6やIL-17Aの発現を誘導した。またzymosanは抗菌ペプチドβ-defensin 1の発現を誘導した。Zymosanによるこれらの発現誘導はDectin-1阻害剤であるラミナリンによって抑制された。
 得られた結果より、口腔領域において真菌のβ-グルカンが露出した状況下では、Dectin-1がβ-グルカンを認識し感染防御に関与すると考えられた。

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