[2-P1-P26] 歯周病原性細菌Fusobacterium nucleatum接種による大腸に及ぼす影響

Author: 〇戸田 みゆき1、小林 良喜2、河野 哲朗3、渡辺 新3、玉村 亮3、泉福 英信2、岡田 裕之3
Affiliation: 1日大 院松戸歯、2日大 松戸歯 感染免疫、3日大 松戸歯 組織
Abstract: ヒトの口腔内には700種を超える常在菌叢を形成している。口腔常在菌の中でも歯周病原性細菌が有する病原因子は宿主の免疫応答のバランスを乱すことで歯周病に進展すると考えられる。歯周病は歯周組織の炎症のみならず,慢性化により糖尿病,アルツハイマー型認知症,関節リウマチやアテローム型動脈硬化症などの全身疾患の増悪化させるリスクファクターとして認識されている。歯周病原性細菌の1つにFusobacterium nucleatum (Fn) がある。近年,Fnは大腸癌の病変から検出され,病態形成に影響を与えていると考えられているが,Fnによる腸管に及ぼす影響については不明である。本研究は,これらを解明するためにFnによる腸管に及ぼす影響について検討を行った。5%カルボキシメチルセルロース溶液 (CMC) に懸濁させたFnをBALB/cマウスの口腔内に15日間連続接種 (Fn群) し,最終口腔内接種から1日後 (Day1) 及び30日後 (Day30) に腸管及び糞便を採取し,ELISA法にて糞便中のTotal IgA抗体量及び蛍光免疫染色法にて大腸内単核細胞の動態を検討した。対照 (Sham)群にはCMCのみを接種した。Fn群の糞便中のIgAの抗体量は,Day30で増加していた。蛍光免疫染色法により,Day1に近位側及び遠位側の大腸粘膜下固有層にてB220+B細胞が増加していた。Day30では, 近位側の腸管関連リンパ組織(結腸リンパ節)で粘膜上皮側から基底膜側への偏位が認められた。さらに,F4/80+-マクロファージがDay1では大腸近位側の粘膜下固有層に集積していることがSham群と比較して認められた。これらの結果から,Fnの口腔連続接種は大腸における粘膜免疫応答に影響を与える可能性があると示唆された。

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