[2-P1-P27] マウス刺激脾細胞のIL-10産生におよぼすミダゾラムの効果

Author: 〇神谷 真子1、高山 英次2、川木 晴美2、梅村 直己2、上野 恭平2、高橋 萌3、智原  栄一4、村松 泰徳3、近藤 信夫2
Affiliation: 1朝日大 営 化学、2朝日大 歯 口腔生化、3朝日大 歯 口外、4朝日大 保 総合医科 
Abstract: 【目的】我々はin vitro刺激培養系を用いて、鎮静薬の一つであるミダゾラムがマウス脾細胞のTh1サイトカイン、IFN-γの産生能を温存し、Th2サイトカイン、IL-10産生能のみを阻害することを明らかにしてきた。本研究では、ミダゾラムの免疫改変作用をより詳細に解析するため、ミダゾラム投与のタイミングおよびベンゾジアゼピン(BZP)受容体拮抗薬の添加がマウス脾細胞のIL-10産生に与える影響を検討した。【方法】マウスから単離した脾細胞に、抗CD3ε抗体を用いてTリンパ球特異的受容体刺激を施し、37℃、5% CO2存在下にて48時間培養した。脾細胞のIL-10産生能は刺激培養後の上清を回収しIL-10濃度をELISA法にて測定し算出した。ミダゾラムの投与効果は、「刺激培養の前」あるいは「刺激後一定時間のみ」に本薬剤5μg/mLで脾細胞を処理した場合、および「刺激培養中48時間継続的」にミダゾラムを作用させた場合のIL-10産生量を、対照群(ミダゾラム未処理の脾細胞)と比較検討した。BZP受容体拮抗薬はミダゾラム投与1時間前に培養系に添加しその影響を観察した。【結果と考察】ミダゾラムで4時間前処置された脾細胞は対照群と同程度のIL-10産生能を有しており8時間の前処置で対照群の約70%程度に低下した。しかしこの前処置の効果は、刺激培養中継続的にミダゾラムを作用させた場合の低下(15%)に比較すると極めて弱かった。さらに、脾細胞は抗CD3抗体刺激後6時間まではミダゾラム共存下で培養された場合も、対照群と同等のIL-10産生能を維持していた。一方、1.5~75μM範囲のBZP受容体拮抗薬フルマゼニルの添加はミダゾラムのIL-10産生抑制効果を阻害しなかった。以上の結果から、1)ミダゾラムのIL-10産生抑制効果は可逆的で刺激培養の早期までに本薬剤を除去することでその抑制効果の顕在化を防ぐことができること、2)ミダゾラムの作用は中枢型BZP受容体を介さないものである可能性が指摘できた。

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