[2-P2-P39] 低接着性培養による口腔癌スフェロイド形成と3次元形態・免疫表現型の解析

Author: 〇工藤 朝雄、埴 太宥、川本 沙也華、佐藤 かおり、田谷 雄二、添野 雄一
Affiliation: 日歯大 生命歯 病理
Abstract: 【目的】スフェロイド(Sph)培養法ではin vivoに近似した性質を示す細胞集塊が得られる。本研究では、口腔癌細胞株のSph形成における低接着性素材上での分化、極性、表現型について3次元形態解析/免疫表現型解析により評価した。
【方法】性質の異なるヒト口腔扁平上皮癌由来細胞株として、間質誘導能の高いOSC-19、EMT様形質をもつOSC-20を対象とし、二種類の市販の低接着性培養プレートと10%FBS添加維持培地を使用して1~5日間培養した。得られた口腔癌Sphを免疫染色に供し、光学顕微鏡・共焦点レーザー蛍光顕微鏡を用いて2次元的・3次元的なSph形状および表現型マーカー局在を観察した。
【結果と考察】OSC-19はいずれの培養基材においても比較的大型の集塊(OSC-19-Sph)を形成したが、OSC-19-Sphの多くは球形を維持できず円板状~お椀型を呈した。一方、OSC-20は培養プレート面への接着傾向が強くSph形成率は低かったものの、形成された集塊(OSC-20-Sph)はOSC-19-Sph同様にお椀型を呈した。E-cadherin発現はOSC-19-Sphと比べOSC-20-Sphでやや高く、表層部での接着傾向は弱かった。OSC-20培養ではCytokeratin/Vimentin二重陽性細胞をみるが、OSC-20-Sphにおいて二重陽性細胞の極性は認められなかった。同様に、浸潤・転移能の指標となるCD44発現、増殖活性の指標となるKi-67陽性細胞の局在にも極性はみられず、両細胞株で差は認められなかった。ただし、細胞間接着や表現型の成立と破綻のバランスは培養基材ごとに僅かに異なっており、低接着環境と癌細胞形質の組み合わせが重要と考えられた。本研究はJSPS科研費#19K10346、21K10053の助成を受けた。

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