[2-P2-P41] 口腔扁平上皮癌細胞に対するDNAメチル化転移酵素阻害剤とヒストン脱アセチル化酵素阻害剤の併用処理による細胞傷害作用

Author: 〇牛尾 亮介1,2、廣井 美紀2、松本 安吏1,2、森 一将1,2、大森 喜弘2
Affiliation: 1明海大 歯 口腔顎顔面外科、2明海大 歯 微生物
Abstract: 【目的】細胞のがん化は、遺伝子変異や染色体転座などのゲノム異常とDNAのメチル化やヒストンタンパク質のメチル化、アセチル化などの修飾により起こるエピゲノム異常が関与している。がん細胞の増殖やがん関連遺伝子の発現制御におけるDNA methyltransferase 阻害剤 (DNMTi)、histone deacetylase 阻害剤 (HDACi)の単剤効果については検討されているが、口腔扁平上皮癌に対するこれら阻害剤の併用効果やその抗がん作用の分子機構については十分には明らかにはされていない。本研究では口腔扁平上皮癌細胞に対するDNMTiとHDACiの併用処理による細胞傷害作用とその分子機構について検討を行った。【材料および方法】 ヒト口腔扁平上皮癌細胞株HSC-2、Ca9-22に種々な濃度のDNMTi (5-Aza-dC、RG108)、HDACi (TSA)を添加し、細胞生存率を測定した。DNA損傷の指標としてヒストンバリアントH2A.XのSer139のリン酸化をウェスタンブロット法にて検討した。【結果】1)5-Aza、TSAは、濃度依存的にHSC-2、Ca9-22細胞の生存率を低下させた。2)低濃度の5-AzaとTSAとの併用処理により生存率のさらなる低下が認められた。3)5-Aza、TSAの単独処理によりcaspase 3/7の活性化が認められたが、併用処理による増強は認められなかった。4)一方、5-Aza、TSAの併用処理によりH2A.XのSer139のリン酸化が認められた。【考察】 5-AzaとTSAの併用処理によるcaspase 3/7の活性化の増強効果は認められなかったことから、併用処理による生存率の低下は、アポトーシス単独によるものではないことが示唆された。一方、この併用処理によりH2A.X Ser139のリン酸化が認められたことからDNA損傷により細胞周期が停止している可能性が示唆された。

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