[2-P2-P42] YAP-PIEZO1シグナルは口腔扁平上皮癌の細胞増殖を促進する

Author: 〇長谷川 佳那、藤井 慎介、清島 保
Affiliation: 九大 院歯 口腔病理
Abstract:  腫瘍における細胞外基質の硬化等の変化が腫瘍形成を促進することが知られている。Hippo経路は細胞外環境を感知し、遺伝子発現を介して腫瘍形成を制御する。Yes-associated protein(YAP)はHippo経路の転写共役因子であり、YAPシグナルの活性化は発癌や予後に影響を与える。口腔扁平上皮癌(OSCC)におけるYAPシグナルの異常活性化について報告されているが、腫瘍形成におけるYAPシグナルの下流因子は不明である。一方、機械感受性カルシウムイオンチャネルPIEZO1は発生期の形態形成に関与することが報告されているが、OSCCにおける発現およびその機能は不明であり、YAPとの関係も明らかになっていない。そこで本研究では、OSCCにおいてYAPによるPIEZO1の発現制御、そして、そのシグナルを介した細胞増殖に与える影響について検討した。その結果、浮遊培養法およびクロマチン免疫沈降法により、YAPシグナルがPIEZO1の発現を制御することを見出した。また、複数のOSCC細胞株においてPIEZO1は高発現し、その発現はアゴニスト依存的カルシウムイオンの細胞内流入に必要であった。加えて、三次元培養法にてPIEZO1がYAPシグナルの下流でOSCC細胞の増殖を制御した。さらに、ヒトOSCC病理組織標本では腫瘍部に高頻度でYAPが核内に発現し、PIEZO1ならびにKi-67と高頻度に共局在していた。これらの結果から、OSCCにおいて、YAPシグナルの異常活性化がPIEZO1の発現を介して細胞増殖を制御する可能性が示唆された。

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