[2-P2-P44] 転写因子TFAP2E は口腔癌細胞の細胞周期進行におけるG2/M 遷移の制御に関与する

Author: 〇藤原 恭子1、酒井 嶺3、高橋 富久1,2
Affiliation: 1日大 歯 解剖 I、2日大 総歯研 機能形態、3日大 歯 院 応用口腔科学
Abstract: Activator protein-2 転写因子ファミリーに属するTFAP2E は,様々な癌種において癌抑制遺伝子として機能していることが知られている。公共データベースを用いた解析では,口腔扁平上皮癌(OSCC)患者においても,腫瘍組織のTFAP2E発現レベルが低い群は,高い群と比べて生存期間が短いことを確認した。TFAP2EがOSCCの発生・悪性化を抑制する分子メカニズムを解明するために,我々はOSCC由来細胞におけるTFAP2Eの発現を強制的に変化させ,その効果について検討を行った。shRNAを用いて,歯肉癌由来細胞株Ca9-22 におけるTFAP2Eの発現を抑制したところ,その増殖速度がコントロール細胞と比べて有意に速くなることがわかった。そこで,増殖速度が変化する理由を探るため,二重チミジン法を用いて細胞をG1期後期に同調させ,その後の細胞周期の進行を継時的に解析した。その結果,TFAP2Eノックダウン細胞ではM期からの脱出速度がコントロールと比べて明らかに速いことがわかった。一方,ノコダゾールを用いて細胞をG2/M期に同調させてから解析を行った場合は,TFAP2Eノックダウン細胞とコントロールの間で細胞周期の進行速度に差がみられなかった。TFAP2E過剰発現細胞についてもG1期後期からの細胞周期の進行速度を解析したところ,M期からの脱出速度がコントロール細胞と比べて遅くなることがわかった。G2/M期に同調させてから解析を行った場合には過剰発現細胞とコントロールとの間には差がみられなかった。いずれの細胞においても,G1期後期からS期終了までの進行速度には大きな違いは見られなかったため,本研究の結果からTFAP2EはG2/M期の進行を制御している可能性が示唆された。

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