[2-P2-P46] EGFR過剰発現唾液腺癌に対する新しい光免疫療法

Author: 〇山口 晴香、森田 貴雄
Affiliation: 日本歯科大学新潟生命歯学部生化学講座
Abstract: “近年、光増感剤(IR700Dye)とモノクローナル抗体を用いた新規のがん治療法である近赤外光免疫療法 (Near-infrared Photoimmunotherapy)が注目されている。近赤外光免疫療法は、モノクローナル抗体にIR700Dyeを結合させたコンジュゲートが細胞表面に到達した際に波長700nmの近赤外光を照射する方法で、近赤外光によってIR700Dyeを活性化し、ターゲットとなる癌細胞の細胞膜のみに穴をあけてネクローシスを引き起こす。この現象による正常細胞への影響はない。私達は、モノクローナル抗体の代わりに、抗体小分子であるAffibody(6-7 kDa)を用いてEGFR過剰発現唾液腺癌に対する近赤外光免疫療法を行った。Affibodyはサイズが小さいため、EGFR Affiboty-IR700Dyeコンジュゲートは、唾液腺癌の深部に効率的に到達すると考えられる。その後、光ファイバーを用いて近赤外光を照射すれば、ほぼすべての癌細胞を死滅させることが出来ると期待される。私達の培養細胞を用いた実験では、EGFR Affibody-IR700Dyeコンジュゲートを使用した光免疫療法でEGFR発現の無いコントロール細胞 (MCF-7)に損傷を与えることなく、EGFR過剰発現の唾液腺癌細胞 (HSY, A253, WR21)を選択的にネクローシスさせた。また、高濃度のEGFR Affibody-IR700Dyeコンジュゲートのみによる処理、または高線量の近赤外光の照射のみでは、細胞生存率に影響を与えなかった。AffibodyとIR700Dyeは既に臨床で使用されているため、臨床応用できる可能性は十分にある。Affibodyを使用した光免疫療法は、唾液腺の機能を保ったまま、唾液腺がん細胞のみを効率的に死滅させる新しい治療法となる。”

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