[2-P2-P51] トレッドミル走は、社会的敗北ストレスによって増大した上部頚髄におけるミクログリア活性を低下させる

Author: 〇長谷川 真奈1、山村 健介2、藤井 規孝1
Affiliation: 1新潟大 医歯病 歯総診、2新潟大 院医歯 口腔生理
Abstract: 最近、我々は身体的な運動が、社会心理ストレスに伴う咬筋・痛覚過敏を軽減することを報告した。近年の研究によって、運動療法が、中枢神経系のミクログリア活性を調節し、その結果、痛みを軽減することが示されてきた。本研究では、社会的敗北ストレス処置 (SDS)・咬筋へのホルマリン侵害刺激が引き起こすC2部でのマイクログリア活性が、運動療法によってどのような変化を示すか?について検討した。オスC57BL/6Jマウスに対し、SDS処置を10日(Day 1-10) 実施した。Day 11、Social Interactionテストによって、ストレス感受性(+)と判定されたストレスマウスを用い、さらに10日間のSDS処置を実施した (Day 11-20)。またトレッドミル運動(6m/分x 30分)をSDS処置後、毎日、実施した。Day 21、マウスの咬筋にホルマリンを注入し、2時間後、 C2部でIba1(マイクログリアのマーカー)免疫組織化学を実施し、結果を非ストレス群と比較した。Iba1の定量は、陽性density、陽性細胞数を指標に行った。C2後角の内側・浅層部で行った。Iba1の発現は、非ストレス群と比べ、SDS単独で有意に増大した。 SDS群、 非SDS群ともにホルマリン刺激によるIba1陽性像の増大は見られなかった。さらにトレッドミル走は、SDSによって増大したIba1陽性像を低下させた。一方、非ストレス群では、運動によるIba1陽性像の変化を認めなかった。以上より、SDSはC2部におけるマイクログリア活性を増大させること、トレッドミル走による運動療法は、 SDS処置によって増大したマイクログリア活性を低下させることが明らかになった。

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コメント

  1. 小林真之 より:

    大変興味深く拝見しました。特にSDSが咬筋にhyperalgesiaを誘発する点は大変勉強になりました。
    一つ質問があります。ミクログリアに注目して解析をされていますが,FOSなどの実験は並行してされていないでしょうか?当たり前と言えば当たり前ですが,Iba1と活性化マーカーとの相関を見ておいた方が良いのではないかと思った次第です。

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  2. 長谷川真奈(新潟大学) より:

    小林真之 先生
    新潟大学の長谷川と申します。貴重なコメントをいただきありがとうございました。お返事が遅くなり申し訳ありません。
    今回データは出しておりませんが、c-Fos、FosBについても調べています。
    SDSにより咬筋ホルマリン刺激後のc-Fos,FosBの発現はC2の浅層、深層の両側で増加し、トレッドミル走群でその応答の低下を認めました。
    Iba1については先生のご指摘の通り、今回はdensityしかみていないため、活性化マーカーとの相関を調べることは今後の課題と考えております。

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