[2-P2-P53] ラットを用いたトラネキサム酸誘発悪心の行動学的解析

Author: 〇藤田 麻由、乾 賢、吉澤 知彦、舩橋 誠
Affiliation: 北大 院歯 口腔生理
Abstract: 【目的】トラネキサム酸(TXA)の悪心・嘔吐誘発機序における最後野および迷走神経求心路の役割を明らかにする.【方法】SD系雄性ラット(7-8週齢)を用い,正常群および横隔膜下両側迷走神経切除群(VX群)と最後野切除群(APX群)を作成した.ラットは嘔吐しないので,TXAによる悪心誘発について調べた.TXA投与(1.5g/kg、1.5%体重i.p.)により,0.1%に対する条件付け味覚嫌悪(CTA)を獲得するか否かを解析し,TXAによる悪心誘発の程度を推定した.全てのラットは,1日あたり20時間40分の絶水期間と飲水期間(20分間のテストと3時間の自由摂取)を設定し,このスケジュールで7日間トレーニングした後,8日目に条件付けを行い,翌日を回復日とし,その後6日間において20分間のサッカリン摂取テストを行い,条件付け日のサッカリン摂取量と比較した.TXA溶液の高浸透圧による条件付けへの影響を検討するために,正常群においてマンニトール(452mM)を添加した生理食塩水を無条件刺激としてCTA測定を行った(MA群)データはDunnett’s検定を用いて統計学的に解析し,有意水準を5%した. 【結果】対照群のサッカリン摂取量はCTA測定開始日から2日間有意な減少を認めたが,VX群では1日目のみであった(各群n=6).一方,APX群においては,いずれの測定日にもサッカリン摂取量の有意な減少を認めなかった(n=12).MA群はCTA測定1日目からサッカリン摂取量が増加したことから,高浸透圧刺激による悪心誘発ではないことが確認できた。これらの結果から,TXAによる悪心誘発の機序として迷走神経求心路および最後野の関与が明らかとなった.さらに,最後野切除の影響の方がより大きいことから,悪心を誘発する神経性情報と液性情報が最後野において統合されている可能性が示唆された.

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