[2-P2-P56] 歯周病菌由来LPS処理による神経系細胞のミトコンドリアへの影響

Author: 〇富田 和男、五十嵐 健人、佐藤 友昭
Affiliation: 鹿児島大 院医歯 歯科応用薬理
Abstract: “近年、歯周病菌由来LPSが胎児の発達遅延や早産、流産、糖尿病の悪化、骨粗鬆症、アルツハイマー病発症など口腔内だけでなく全身疾患に関与することが明らかとなってきている。しかしながらその分子メカニズムは十分に明らかとはなっていない。本研究では、このLPSの影響について、NGF処理で神経様細胞に分化するPC-12細胞を用いて検討した。
PC-12細胞をNGF処理すると、分化に伴って細胞膜上のCl トランスポーターであるKCC2の発現が次第に上昇するが、P. gingivalis由来のLPS処理をすると、このKCC2の発現上昇が阻害された。神経細胞の成熟は、このKCC2の発現上昇によるGABAの興奮性から抑制性への機能変化であるGABAスイッチが重要であるが、LPS処理により、GABA機能は興奮性が保たれていた。LPSは炎症性サイトカインを惹起するストレッサーであり、炎症部位においては活性酸素種(ROS)の産生が亢進していることが報告されている。そこで、細胞内のヒドロキシラジカルをHPF, 過酸化水素量をHYDROP、ミトコンドリア由来活性酸素をMitoSOXにて各ROSを検出したところ、LPS処理によりこれら全てのROSの発現が増大していた。ROSの最大の発生源はミトコンドリアであることから、LPS処理によるミトコンドリア機能変化について検討したところ、JC-1染色によりミトコンドリア膜電位が減少している事が明らかとなり、ミトコンドリア構成タンパク質のひとつ、プロヒビチン2 (PHB2)の発現も減少していた。さらに、PHB2をsiRNAにてノックダウンすると、KCC2の発現が抑制されることもわかった。これらの結果から、LPS処理によりミトコンドリアが障害を受け、PHB2発現が減少することによりKCC2発現が減少し神経成熟が阻害されることが示唆された。”

メールで問い合わせ

0

コメント

タイトルとURLをコピーしました