[3-P1-P100] 低酸素環境の歯根膜細胞より産生される炎症性サイトカインがアルツハイマー病の病因因子産生に与える影響の解析

Author: 〇堤 貴司1、鍛治屋 浩2、前芝 宗尚3、後藤 加寿子4、岡部 幸司2
Affiliation: 1福歯大 総合歯、2福歯大 細胞分子生物 細胞生理、3福歯大 咬合修復 有床義歯、4福歯大 医療短大 歯科衛生士学科
Abstract: 【目的】我々は、咬合性外傷は歯根膜組織を低酸素環境にさせることやマウスの認知機能の低下および海馬におけるアルツハイマー病原因物質の発現を有意に増加させることを以前報告した。本研究は、歯根膜組織のこの低酸素ストレスがアルツハイマー病原因物質の産生に影響を与えるか明らかにすることを目的とし、歯根膜細胞の低酸素環境状態でのアルツハイマー病原因物質の産生とこの細胞の低酸素培養による培養上清刺激に対するミクログリア細胞のアルツハイマー病原因物質の産生について評価した。【方法】野生型マウスより初代歯根膜細胞を単離し、コントロール群と2%酸素濃度下の低酸素ストレス(LO)群に分け、炎症性サイトカイン(IL-1β、IL-6、TNF-α)およびアルツハイマー病原因物質(APP、Tau等)の遺伝子発現量を定量性PCR法により評価した。また、これら条件での歯根膜細胞より回収した培養上清によりマウスミクログリア細胞株(MG6)を培養し、コントロール刺激群とLO刺激群に分け歯根膜細胞と同様の解析を行った。【結果と考察】歯根膜細胞においてLO群はコントロール群と比較してIL-1β、IL-6、TNF-αの発現が有意に増加していた。一方、アルツハイマー病原因物質の発現量には両群に有意な差を認めなかった。一方、ミクログリア細胞への刺激では、コントロール刺激群と比較してLO刺激群において、APPとTauの有意な発現の増加を認めた。今回の結果から、低酸素環境下で歯根膜組織から直接的にアルツハイマー病原因物質は産生されず、これら組織から放出された炎症性サイトカインがミクログリア細胞にてアルツハイマー病原因物質の産生を誘発することが示唆された。現在、タンパク質の経時的な発現変化と歯周組織から分泌された炎症性サイトカインがどのくらい脳組織に到達して活性を示すか評価するin vivoの実験系を模索している。

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