[3-P1-P101] 多血小板フィブリンを用いた歯槽骨再生療法時の微小循環

Author: 〇松尾 まりあ、奥寺 俊允、東 雅啓、松尾 雅斗
Affiliation: 神歯大 口腔解剖
Abstract: 目的:多血小板フィブリン (Platelet rich- Fibrin : PRF)は自己血液から抽出された血小板由来の成長因子を多く含み、血管や骨の新生を促進すると言われている。また動物由来や合成物質を用いない自己材料のため安全性が高い特徴を持つ。本研究では抜歯窩モデルに用いて骨形成と微小循環に注目して形態学的な検討を行った。方法:本研究はビーグル犬を用い、抜歯直前に採血した20mlの静脈血より作製したPRFを用いた。上下顎両側前臼歯部を抜去し、右側歯槽窩中にはPRFを緊密に填塞した後縫合し実験群とした。左側は抜歯後PRFを使用せず縫合し対照群とした。手術後、14日、30日、90日に灌流固定し、上顎はHE染色切片による光学顕微鏡観察を行った。下顎は下歯槽動脈より樹脂注入し血管鋳型標本を作製、実体顕微鏡ならびに走査型電子顕微鏡で観察を行った。結果と考察:術後14日、対照群では歯槽窩中央部の血餅に向かった血管新生が見られた。骨添加は既存歯槽骨面に沿った部分にのみ生じていた。実験群では、血餅の面積は減少し、抜歯窩内は新生血管で充たされていた。同時に著しい骨添加が生じ血管間隙は幼弱骨に埋没していた。術後30日、対照群の歯槽窩内は多孔性で粗造な新生骨で充たされていた。孔中には血管が存在し血管腔となっていた。実験群では密な骨形成が観察され、細い骨梁が再生されていた。それに伴い骨髄腔が形成され始め血管新生が進行していた。術後90日、骨構造の再生は両群とも成熟が進み骨梁を有する骨構造となっていた。実験群において骨梁の厚さが増し、より緻密な骨となっていた。以上のことからPRFを用いた骨造成療法により実験初期の14日後では微小血管の申請が誘導されていることが観察でき、また、血管新生に引き続く骨形成が生じる事が示唆された。

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