[3-P1-P102] 卵巣摘出ラットモデルにおけるエストロゲン欠乏と歯周病進行の相関関係について―歯周病罹患組織のブラッシングによる損傷レベルの観察―

Author: 〇天野 カオリ1、稲葉 啓太郎2、松尾 雅斗3
Affiliation: 1神奈川歯科大学解剖学分野、2神奈川歯科大学微生物学分野、3神奈川歯科大学口腔解剖学分野
Abstract: 閉経前後世代の女性において、急速なエストロゲン減少が招く骨粗鬆症を代表とする種々の疾患や不調に加えて歯周炎のリスクが高くなることが知られている。また加齢による唾液腺の線維脂肪化に伴う唾液分泌量減少も歯周病の憎悪要因としてあげられる。本研究は卵巣摘出ラットモデルOVXを使用し、エストロゲン欠乏環境下でPorphyromonas gingivalis(P. gingivalis) ATCC 33277株にて実験的歯周炎を惹起させ、歯肉と舌筋に日常的な機械刺激を想定して電動歯ブラシを使用しブラッシングを行った場合の歯周炎組織細胞が受ける損傷レベルを観察することを目的とする。実験には8週齢ラットOVX群24匹と偽手術sham群6匹を使用した。1週間後、実験的歯周炎を惹起させるため5%カルボキシメチルセルロースと混合したP. gingivalisを2週間2日おきに計5回塗布し、2週間後に再度感染を施行した。感染群と非感染群はそれぞれ隔離して飼育を行った。また普通飼料投与群に加えてイソフラボン含有飼料投与群、普通飼料投与とβエストラジオール0.1mgを21日間皮下に埋め込んだ3群に分けた。約9週間後に吸入麻酔下で電動歯ブラシを使用し、下顎中切歯間部歯肉と片側舌筋のブラッシングを専用の測定器使用下にて1分間行った。11週齢ラットの体重はOVX群がSham群より平均18g増量し軽度肥満個体もみられた。ブラッシング後3時間後に深麻酔下で4%パラホルムアルデヒドPBS溶液にて潅流固定し、上顎下顎骨を含む歯間歯肉部と舌筋と共に、唾液腺を摘出した。通法に従い凍結試料を作成し7μの凍結切片を作成した。損傷細胞の標識抗体として C-fos 抗体を使用した。 C-fos は感染群ブラッシング後3時間後の歯肉と舌筋細胞の上皮と上皮直下に豊富に観察されたが、本実験においてP. gingivalisに感染させたOVX群とSham群との損傷レベルに明瞭な差は認められなかった。

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