[3-P1-P71] 軟食飼育が若齢マウスの視床下部および海馬に及ぼす影響

Author: 〇古川 匡恵、四釜 洋介、松下 健二
Affiliation: 国立長寿 口腔 
Abstract: 近年、咀嚼が全身に様々な影響を与えていることが示唆され、咀嚼の重要性が再認識されている。機能性栄養食品や栄養補助食品としてゼリー状の食品が簡単に手に入るようになり、若年者から老年者まで咀嚼をしなくとも栄養補給が可能になった。一方で、粉末食による寿命の短縮や早期老化の報告がある。本研究は、長期間軟食を与えて飼育した若齢マウスの視床下部や海馬における老化関連遺伝子の変化、24時間活動性や情動行動の変化等の検討を目的とした。実験群は、7週齢のC57BL6Nslcマウスを3~6ヶ月間固形食で飼育したコントロール群(YC群)、3~6ヶ月間軟食を与えた群(YS群)、3ヶ月目で固形食に戻した群(YSH群)、の3群である。飼育期間中に各種行動実験を行った。屠殺後、脳組織を回収し、海馬および視床下部における老化関連遺伝子および寿命関連因子の発現を検討した。マウスは軟食飼育をしても体重や生命維持には異常をきたさないものの、海馬および視床下部において老化関連分子の増加とともに神経細胞の減少やミクログリアの増加に関連する分子の発現増加が観察された。また行動実験の結果、YS群において夜間の行動量の増加が見られ、それは固形食に戻しても強く残存した。YC群と比較しYS群、YSH群において認知機能や運動機能の低下が認められた他、YS群とYSH群において強い攻撃性がみられた。これらのことから、軟食は脳の老化や行動および情動の変調に強く影響する可能性が明らかとなった。

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