[3-P1-P73] 骨形成異常ラットにおける小腸刷子細胞の免疫組織学的解析

Author: 〇安尾 敏明、諏訪部 武、中村 文彦、硲 哲崇
Affiliation: 朝日大 歯 口腔機能修復 口腔生理
Abstract: 超高齢社会の日本において、フレイルの有病率は7%となっており、大きな社会問題となっている。このフレイルの危険因子の一つに偏食があり、偏食の結果生じた栄養失調(栄養不足)または栄養過剰はフレイル状態を促進することが広く知られている。近年、味物質を検知する『味覚センサー』が、口腔のみならず腸管にも存在し、摂取した食品の情報を脳へ伝えることで、エネルギー代謝を変化させるという『味覚センサーを起点とした口腔脳腸連関』の存在が示された。私たちは偏食がこの『口腔脳腸連関』へ及ぼす影響を明らかにするため、これまでに行動学的・神経科学的解析を行い、ビタミンC(以下、VC)合成能が欠如し、VC欠乏により骨形成異常を呈するODS/shiJcl-od/odラット(以下、ODラット)において、VC欠乏時に摂取行動が変化し、食欲不振、体重減少や一部の味質に対する鼓索神経応答が低下する可能性を報告してきた。また、味覚センサーを発現する腸管の刷子細胞がエネルギー代謝や免疫に関わること、この腸管刷子細胞が寄生虫感染時にインターロイキン25を産生し、2型自然リンパ球を活性化することで杯細胞と共に過形成すること、ODラットではVC欠乏時に血中の炎症誘発性サイトカインが上昇し回腸の杯細胞が増加することやVC欠乏症では腸管出血等の胃腸症状が出現することが報告されている。そこで、本研究では、VC欠乏が回腸刷子細胞の過形成を引き起こすのかどうかを明らかにするために、ODラットをVC欠乏群と非欠乏群の2群に分け、免疫組織化学染色法にて、両群の回腸における刷子細胞のマーカー分子であるDCAMKL1陽性細胞数を解析した。その結果、両群間おいて絨毛の長さあたりのDCAMKL1陽性細胞数に有意差は認められなかった。以上の結果から、ODラットの回腸に刷子細胞が存在するが、VC欠乏により回腸刷子細胞の過形成は起きない可能性が示唆された。

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