[3-P1-P82] P. gingivalis LPS が誘導する糖尿病性腎症モデルマウス腎におけるSGLT2の過剰発現についての研究

Author: 〇梶原 弘一郎1、沢 禎彦2
Affiliation: 1福歯大 矯正、2岡大 院医歯薬 口腔機能解剖
Abstract: 重度歯周疾患のある糖尿病患者が腎症を合併する危険性の高いことは喫緊の問題である。近年、糖尿病患者の腎臓におけるナトリウム-グルコース共輸送体(SGLT2)の過剰発現が報告されている。以前、我々は糖尿病マウスの腎糸球体内皮細胞においてToll様受容体TLR2およびTLR4を発現することを報告した。本研究は、糖尿病マウス腎におけるTLR2 / 4リガンドであるP. gingivalis LPS(Pg-LPS)によるSGLT2の発現を調べることを目的としている。免疫組織化学的研究および組織リアルタイムPCR、ストレプトゾトシン(STZ)誘発性糖尿病ICRマウス(STZ-ICR)、Pg-LPSを投与された健常なICRマウス(LPS-ICR)、および Pg-LPS誘発性腎症を伴う糖尿病ICRマウス(LPS-STZ)において行われた。血糖値の定量分析では、600 mg/dlに達するまでの平均時間は、LPS-STZの方がSTZ-ICR腎よりも短かった。さらに、血糖値の上昇は、LPS-STZの方がSTZ-ICR腎よりも有意に急であった。これらのデータより、LPS-STZモデルは顕著な耐糖能異常を示唆している。SGLT2の発現は、LPS-ICRまたはSTZ-ICRよりもLPS-STZの腎実質全体で有意に強かった。 SGLT2の発現は、尿細管と尿細管周囲の両方、およびLPS-STZ腎の糸球体で観察された。組織リアルタイムPCRおよび細胞ELISAによる分析では、SGLT2遺伝子およびタンパク質の発現は、LPS-ICRまたはSTZ-ICRよりもLPS-STZで有意に強かった。 LPS-ICR腎とSTZ-ICR腎におけるSGLT2の産生に違いは認めなかった。腎SGLT2の異常発現が糖尿病または、P. gingivalis LPS単独では誘発されないことが示唆された。本研究は、歯周炎が糖尿病性腎症の独立危険因子であるばかりでなく、糖尿病の増悪因子である可能性を示唆していると考えられる。

メールで問い合わせ

0

コメント

タイトルとURLをコピーしました