[3-P1-P94] ピロカルピン刺激による遺伝子発現変化におけるβアレスチン系の関与

Author: 〇森田 貴雄1、根津 顕弘2、山口 晴香1、佐藤 律子1,3、谷村 明彦2
Affiliation: 1日歯大新潟 生化、2北医療大 歯 薬理、3日歯大 新潟短大 歯科衛生学
Abstract: 【目的】ムスカリン受容体アゴニストのピロカルピンは、シェーグレン症候群などの口腔乾燥症に対する唾液分泌促進薬として使われており、継続的投与により唾液分泌が漸次的に亢進するが、その分子メカニズムは明らかになっていない。我々は第59回本会において、ピロカルピン投与によりラットの顎下腺と脳における遺伝子発現が増減することを報告した。本研究では、培養細胞を用いて、ピロカルピンなどムスカリンアゴニストによる遺伝子発現変化の細胞内分子メカニズムを検討した。【方法】ヒト神経芽細胞腫由来細胞(SH-SY5Y)またはヒト唾液腺由来細胞(HSY)を、ピロカルピン(Pilo)、セビメリン、アセチルコリン、カルバコール、ベタネコールなどのムスカリン受容体アゴニストで刺激し、3日後にtotal RNAを抽出した。これらのRNAからcDNAを作製し、GAPDHの発現量を内部標準として定量PCRにより各遺伝子の発現量変化を比較した。PCRプライマーの設計はPrimer 3ソフトウェアを用いて行った。【結果と考察】ラットへのPilo(1 mg/kg)投与により発現が変化した遺伝子を網羅的解析により同定した。このうち、いくつかの遺伝子の発現量変化を培養細胞(SH-SY5YおよびHSY)を用いて解析したところ、ラットと同様にPilo刺激による発現亢進が観察された。さらに、他のムスカリン受容体アゴニストによる刺激でも発現が亢進した。また、Pilo刺激による遺伝子発現変化はβアレスチン阻害薬およびMEK阻害薬で抑制または亢進され、この変化はSH-SY5YとHSYで異なっていた。これらのことから、Pilo刺激による遺伝子発現変化にはβアレスチン系やMAPK系が関与することが示唆された。

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