[3-P1-P95] アセチルコリン刺激によって生じる顎下腺のCa2+と血流オシレーションとその調節機構

Author: 〇根津 顕弘1、森田 貴雄2、石井 久淑3、谷村 明彦1
Affiliation: 1北医療大 歯 薬理、2日歯大新潟 生化、3北医療大 歯 生理
Abstract: アセチルコリン(ACh)を持続的に静脈投与すると顎下腺に組織レベルで同調したCa2+オシレーションが観察される。本研究では、このCa2+オシレーションの調節機構を明らかにするため、超高感度蛍光 Ca2+センサーを使ったin vivo Ca2+イメージングシステムと二次元レーザー血流計を用いた生体イメージングにより、ラット顎下腺のCa2+応答と血流動態の解析を行った。AChの持続投与により約50~75秒周期のCa2+オシレーションが惹起された。このCa2+オシレーションは自律神経節遮断薬では影響されなかったことから、その調節に自律神経系のフィードバックの関与は少ないことが示唆された。一方で、Ca2+オシレーションはカルシウム拮抗薬により完全に振動が抑制されて持続的な上昇へ変化したことから腺血流動態が関与する可能性が示唆された。そこでAChによる顎下腺の血流動態を可視化したところ、Ca2+と同様に約50秒周期で顎下腺血流が上昇と下降を繰り返す血流振動が観察された。ACh投与による顎下腺の局所の血流変動は、上、中央、側面、下部のいずれの部位から発生する多様な変化パターンを示した。この血流振動のしくみを調べるため様々な遮断薬を用いたところ、アンジオテンシンII(Ang II)受容体拮抗薬やAng変換酵素(ACE)阻害薬により、振動が抑制された。また、ACE阻害下で抑制された血流振動がAng IIの持続投与によって回復したことから、血流振動の調節機構にAng IIによる顎下腺の血管収縮が重要な役割を果たすことが明らかとなった。さらにCa2+応答と血流動態の同時測定したところ、顎下腺の細胞内Ca2+濃度の上昇が血流増加に先立って発生することが明らかとなった。この結果は腺房細胞のCa2+応答を介して顎下腺の血管の拡張が起こる可能性を示している。Ca2+応答による顎下腺腺房細胞の酸素消費の影響や伝達物質の放出の可能性などについて現在解析中である。

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