[3-P1-P099] マウスの抜歯後治癒におけるマクロファージ枯渇の影響

Author: 〇堀部 寛治、西田 大輔、中村 浩彰
Affiliation: 松歯大 口腔解剖
Abstract: 【目的】マクロファージは貪食能だけでなく、組織修復を調節することが知られている。我々は抜歯窩治癒過程において、組織修復性のM2マクロファージが浸潤し、TGF-β産生することを報告している。今回、抜歯後の歯周組織治癒におけるマクロファージの役割をより詳細に調べるため、クロドロネートリポソーム投与により、マクロファージを枯渇させ抜歯窩治癒過程の解析を行った。【実験方法】クロドロネートリポソームを事前投与後、6週齢マウスの上顎臼歯を抜去し、2,4,7日後に上顎を採取した。マイクロCT撮影、組織学的・免疫組織学的手法、リアルタイムPCRにより、抜歯窩および歯周組織の治癒過程を経時的に解析した。【結果】抜歯後7日のコントロール群では、抜歯部位の粘膜が完全に封鎖していたが、クロドロネートリポソーム投与群では、抜歯部粘膜の治癒遅延が生じていた。マイクロCT画像解析では、クロドロネートリポソーム投与群はコントロール群と比べ、抜歯窩内の新生骨形成の低下が認められた。組織的観察において、クロドロネートリポソーム投与群は、抜歯部粘膜の治癒遅延により、歯槽骨が露出した状態にあり、表層部の骨小腔の空胞化が見られた。免疫組織学的解析により、クロドロネートリポソーム投与群はF4/80およびCD206陽性のマクロファージが全身および抜歯部局所で枯渇していることが確認された。また、エンドムチン陽性血管および、α-SMA、RUNX2陽性細胞数がコントロールよりも著しく減少していた。リアルタイムPCRによる抜歯後歯周組織の遺伝子発現解析では、マクロファージより分泌される組織修復性のサイトカインであるTGF-β、PDGFBが有意に低下していた。以上の結果より、抜歯窩治癒過程においてマクロファージは血管侵入や骨芽細胞分化を促すサイトカインの分泌により歯周組織修復に重要な役割を担うことが示唆された。

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