[3-P2-P106] 象牙質形成および再生過程におけるCD146の局在

Author: 〇渋井 徹1、細矢 明宏2、建部 廣明2、高橋 昌己1、入江 一元1
Affiliation: 1北医大 歯 解剖、2北医大 歯 組織
Abstract: 【目的】CD146およびalpha-平滑筋アクチン(SMA)は、様々な組織において血管周囲に存在する未分化細胞で発現が認められることが知られている。本研究では、CD146の象牙芽細胞分化における機能を検討する目的で、歯の発生ならびに象牙質再生過程における局在を免疫組織化学的に検討した。【材料と方法】Lewis系ラット臼歯の発生過程ならびに象牙質窩洞形成後のCD146、alpha-SMA、Osterix、象牙質シアロタンパク(DSP)の局在を免疫組織化学的に観察した。【結果と考察】胎生(E)15日齢の蕾状期歯胚においてCD146の特異的な反応は認められなかったが、帽状期(E17)歯胚では、歯乳頭の血管周囲で散在性にCD146陽性細胞が認められた。この陽性細胞は、鐘状期(E20)歯胚になると歯乳頭で多数認められた。一方、alpha-SMA陽性細胞は、E15-20日齢の歯乳頭ではほとんど観察されなかった。生後(P)28日齢の歯髄では、CD146およびalpha-SMA陽性細胞はともに歯髄中央部の血管周囲に局在したが、これらの陽性反応を示す血管は僅かであった。窩洞形成後の歯髄では、4日後から窩洞直下の象牙質表面にOsterix陽性の象牙芽細胞が出現し、修復象牙質形成が認められた。この修復象牙質近傍に認められる血管のほとんどはCD146陽性を示したが、alpha-SMA は陰性だった。7日後、DSP陽性の厚い修復象牙質が認められるようになると、象牙芽細胞におけるOsterixの反応は消失した。また、窩洞直下の歯髄においてCD146陽性を示す血管は減少した。以上の結果より、CD146陽性細胞は象牙質形成開始時の歯乳頭および歯髄に多数認められたことから、象牙芽細胞分化に重要な役割を担っていることが示唆された。

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コメント

  1. 入江一元 より:

    渋井先生
    コメント、質問ありましたか。

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