[3-P2-P108] 象牙芽細胞における細胞膜Ca2+-ATPaseは象牙質石灰化を調節する

Author: 〇木村 麻記1、黄地 健仁1、佐藤 涼一2、国分 栄仁3、黒田 英孝1,4、安藤 正之1、河野 恭佑1、野村 幸恵1、澁川 義幸1
Affiliation: 1東歯大 生理、2東歯大 衛生、3東歯大 微生物、4神歯大 院歯 歯科麻酔
Abstract: 象牙芽細胞に細胞膜Ca2+-ATPase(PMCA)が発現することは報告されているが、PMCAのサブタイプのmRNA発現レベルやPMCAの薬理学的性質、細胞機能における役割は不明である。そこで本研究は、ヒト培養象牙芽細胞(HOB細胞)を用いて生理的条件下でのPMCAのmRNAレベルと石灰化への寄与について検討した。加えて、HOB細胞とラット急性単離象牙芽細胞において低浸透圧刺激と高pH刺激で誘発される細胞内遊離Ca2+濃度増加時のCa2+排出経路に対するPMCAの関与を検討した。HOB細胞からPMCA1-4のmRNAが検出された。PMCA2のmRNAレベルは他のサブタイプのmRNAレベルに比べて有意に低かった。免疫蛍光染色において、HOB細胞は抗PMCA1抗体に陽性反応を示した。細胞外Ca2+存在下で、ラット急性単離象牙芽細胞とHOB細胞に膜伸展刺激を誘発する低浸透圧刺激または高pH刺激を加えると細胞内遊離Ca2+濃度([Ca2+]i)は一過性に増加した。増加したCa2+の細胞外への排出は非選択的PMCA抑制薬である5(6)-carboxyeosin(CE)、caloxin 1b1の投与で有意に減少した。Alizarin red染色とvon Kossa染色において、CEとcaloxin 1b1は石灰化誘導培地中で培養したHOB細胞による石灰化を有意に抑制した。高pH刺激はdentin matrix protein-1(DMP-1)とdentin sialophosphoprotein(DSPP)のmRNAレベルを増加した。pH 7.4・8.8条件下、等張・低張条件下でのCEの投与はDMP-1とDSPPのmRNAレベルに影響しなかった。象牙芽細胞にPMCA1-4のmRNAとタンパク質レベルでのPMCA1が発現することが示された。象牙芽細胞においてPMCAは[Ca2+]iの恒常性維持に関与していることが示唆された。加えて、PMCAを介した石灰化前線へのCa2+排出が、生理的条件下での象牙質形成と象牙質表面への刺激で生じる象牙細管内液移動による象牙芽細胞膜伸展や高pH製剤投与時のアルカリ刺激に伴う象牙質形成に重要な役割を果たすことが示唆された。会員外共同研究者:岩崎美友

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