[3-P2-P109] 髄床底部への意図的穿孔形成がマウス臼歯再植後の歯髄治癒過程に及ぼす影響

Author: 〇佐野 拓人1,2、大島 邦子3、岡田 康男2、佐藤 拓一1、大島 勇人4
Affiliation: 1新大 院保健 臨床化学、2日歯新潟 病理学、3新大 院医歯 小児歯、4新大 院医歯 硬組織形態
Abstract: 【目的】我々は、マウス臼歯を再植する前に歯根短縮術を施すと、歯髄内に早期の血行回復が起こり、歯髄静的幹細胞の活性化を促すことを明らかにした(Dent Traumatol. 2021 Apr 16. doi: 10.1111/edt.12679)。しかし、歯根短縮術は根尖部歯髄に存在する幹細胞群SCAPを失うこととなり、また歯根が短いことは歯の長期的予後を悪化させることから、今回我々は、髄床底部への意図的穿孔形成が歯の再植後の歯髄治癒過程に及ぼす影響を検証した。
【方法】深麻酔下で3週齢マウス上顎両側第一臼歯を抜去後、左側(対照群)は即時再植し、右側(実験群)は髄床底に直径0.5 mmのカーバイドバーで穿孔形成し抜歯窩に再植した。術後3日~8週まで経時的にアルデヒド系固定液にて灌流固定し、EDTAで脱灰・パラフィン包埋後、頭部矢状断パラフィン切片を作製し、象牙芽細胞分化マーカーであるNestin免疫組織化学を行った。画像解析ソフトを用いて、対照群・実験群の術後1週と2週で歯髄・象牙質界面のNestin陽性率を比較した。
【結果と考察】穿孔形成し再植した実験群では、単に再植した対照群に比較し穿孔部から早期の血行回復が起こり、歯髄治癒が促進する傾向が確認され、術後2週の実験群の再植歯遠心根で、Nestin陽性率が有意に増加した。従って、髄床底部への意図的穿孔形成が髄床底部からの早期の血行回復を促し、歯髄静的幹細胞を賦活し、歯の再植後の歯髄治癒を促進することが示唆された。しかしながら、今回の実験では髄床底穿孔部での骨形成・アンキローキスが惹起されたことから、今後は穿孔の大きさを調整し髄床底部での骨形成・アンキローシスを抑制し歯髄治癒を促進する方法論の確立が必要である。

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