[3-P2-P110] MTAにより誘導された根尖部硬組織の病理組織学的評価

Author: 〇宮本 侑果1、木方 一貴2、松岡 太相1、中尾 寿奈1、江原 道子1、落合 隆永1、河野 哲2、永山 元彦1
Affiliation: 1朝日大 歯 口腔病理、2朝日大 歯 保存
Abstract: 【背景】MTA(Mineral trioxide aggregate)は根管内と根管外の交通を遮断し、硬組織誘導が期待できる歯内療法材料である。しかし、MTAによる硬組織誘導の生物学的な動態については不明な点も多い。今回、MTAにより根尖部に硬組織形成が確認された抜去歯を用いてMTAの硬組織誘導能を解析した。【方法】MTAを用いてapexificationを行ったところ、根尖部に硬組織形成を確認したが矯正的理由で抜歯対象となった歯を患者の同意を得て10%中性緩衝ホルマリン液で48時間固定した(朝日大学歯学部倫理審査委員会 承認番号30002)。その後μCT撮影を行い、mineral density (MD)画像と Volume of MD(VMD)値を算出した。その後10%EDTAで3週間脱灰を行い、4μmの薄切切片を作製し、H-E染色、免疫染色(DMP1、Osterix、CD68)およびTartrate-Resistant Acid Phosphatase (TRAP)染色に供した。【結果と考察】根尖部は硬組織によって完全に封鎖され、形成された硬組織のMD画像とVMD値は根尖側で低く、MTA側では高い数値を示したことから石灰化度に相当する密度に差がみられた。一方、H-E染色で形成された硬組織中には改造線や骨髄様組織がみられた。また、一部に空胞状あるいは泡沫状の細胞が集簇し、これらはCD68に陽性を示したが、DMP1、Osterix、TRAPには陰性であった。根尖部に形成された硬組織はMTA誘導性に生じた骨/セメント質様硬組織で、一部にCD68陽性マクロファージによるMTAに対する異物反応を示しながら、骨/セメント質様硬組織による根尖閉鎖に至ったと考える。

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