[3-P2-P111] 根面う蝕モデル:酸による根面内在性タンパク分解酵素の活性化

Author: 〇櫻井 泉1,2、真柳 弦1,3、山田 聡2、高橋 信博1
Affiliation: 1東北大 院歯 口腔生化、2東北大学大学院歯学研究科 歯内歯周治療学分野、3東北大学大学院歯学研究科 歯学イノベーションリエゾンセンター  先端教育開発部門
Abstract: “【目的】
8020運動の奏効により、高齢になっても自身の歯を保持することが可能となってきた。一方、加齢や歯周疾患による歯肉退縮に伴い、残存歯の根面が露出することで、根面う蝕が増加している。有機質成分が2~3割を占める根面う蝕では、酸による脱灰に加えて、有機質の分解も関わることが明らかになっている(Takahashi, Nyvad: Caries Res; 2016)。本研究では、根面に存在する内在性タンパク分解酵素の酸による活性化について、根面う蝕モデルを用いて検討した。
【方法】
ウシの中切歯歯根部の半側をインレーワックスで覆い、酸溶液(50 mM乳酸緩衝液、pH 4.0)に48時間浸漬して脱灰した。その後水平断し、厚さ0.5 mmの円筒状根面歯質片を作製した。根面をゼラチン蛍光基質(pH 7.0)に浸漬し、37℃で2時間インキュベート後、蛍光実体顕微鏡を用いて蛍光像を撮影し、根面に存在するタンパク分解活性を評価した。
【結果および考察】
酸浸漬した根面は、酸非浸漬の根面と比べ、強い蛍光を発し、酸によって歯質の内在性タンパク分解活性が活性化されることが分かった。根面表層では酸による脱灰に加え、内在性タンパク分解酵素が活性化され、有機質が分解されることが示唆される。また、蛍光強度は、酸浸漬根面の表面から内部に行くに従い減少したが、歯髄腔周辺では再び高くなった。前者は酸によって活性化された歯質の内在性タンパク分解酵素に由来するものと考えられるが、後者は象牙芽細胞のタンパク分解酵素に由来するものと考えられる。今後、根面歯質の内在性タンパク分解酵素活性の酸活性化条件を精査することで根面う蝕の病態を解明するとともに、根面う蝕に対するタンパク分解酵素インヒビターの効果を検討する予定である。”

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