[3-P2-P115] Keap1遺伝子欠損マウスにみられる軟骨内骨化の抑制:X線μCTおよび水中での大気圧走査電子顕微鏡による観察

Author: 〇坂井 詠子1、佐藤 主税2、佐藤 真理2、Farhana Fatima1、筑波 隆幸1
Affiliation: 1長大 院医歯薬 歯科薬理、2産業技術総合研究所 健康医工学研究部門
Abstract: “【目的】Keap1は、抗酸化酵素の発現を制御する転写因子Nrf2 に結合し負に制御する。酸化ストレス下では、Keap1はNrf2から離れNrf2は核へ移行して転写活性を発揮する。我々は以前Keap1遺伝子欠損が破骨細胞分化を抑制することを明らかにした[1]。また我々は大気圧走査電子顕微鏡 ASEMを用いて、組織の脱灰や脱水処理を行わずに硬組織の観察方法を開発してきた[2]。本研究はX線µCTとASEMを用いて、マウス軟骨内骨化におけるKeap1遺伝子欠損の影響を明らかにする目的で行った。
【方法】野性型またはKeap1遺伝子欠損マウス大腿骨をアルデヒドで固定後、一方はX線µCTを用いて二次骨化中心の形成を観察した。他方は4%寒天に包埋し PRO7 linear slicer を用い200µm厚さで長軸方向にスライスした断面をASEM のディッシュ型試料ホルダー底面の窒化シリコン超薄膜上に置き、ラジカル除去剤であるグルコース溶液中で水中観察した。
【結果】大腿骨遠位端から近位方向に観察していくと、野生型マウスではリン酸カルシウムが無染色でも明るく観察され、この領域が石灰化していることが示唆された。リンタングステン酸溶液 (PTA)で染色を行うと石灰化領域周辺の細胞や微細構造が鮮明になり、軟骨細胞や海綿骨と周辺の細胞、および皮質骨が詳細に観察された。一方、Keap1遺伝子欠損マウスでは、無染色では石灰化が観察されず、PTA染色後には海綿骨領域において繊維状の異常な構造物が観察され不十分なカルシウムの沈着が示唆された[3]。またµCT画像から二次骨化中心の形成抑制が観察された。
【結語】Keap1は軟骨内骨化において重要な役割を果たしている。ASEMは親水環境で試料の無機・有機成分の高分解能観察を可能にする。ハイスループットなASEMの技術は硬組織研究への応用が期待できる。[1] E. Sakai et al, FASEB J. 31(9)4011-22 (2017) [2] C. Sato et al, Sci Rep. 9:7352 (2019) [3] E. Sakai et al, Sci Rep. 11:5722 (2021).”

メールで問い合わせ

0

コメント

タイトルとURLをコピーしました