[3-P2-P116] カピバラ大腿骨の構造特性

Author: 〇笠原 典夫1、菊池 布恵1、小川 雄大1、北村 啓1、松永 智2、阿部 伸一2、山本 仁1
Affiliation: 1東歯大 組織発生、2東歯大 解剖
Abstract: 【目的】骨は自重を支持し運動器官としての役割を担うことから、微細構造は力学環境によって最適化される。そのため同じ哺乳類でも骨構造は大きく異なり、ビーグル犬の骨にはオステオンを多数確認できるが、マウスの骨は層板状を呈する。一方、カピバラは齧歯類中で最大で成獣は30kgを超える。しかしながら、この体重を維持・機能させるための骨構造特性については不明な点が多い。そこで本研究は新生児および成獣におけるカピバラの骨組織の構造特性を解明することを目的とした。【方法】新生児および成獣カピバラの大腿骨を試料とした。5μmの薄切切片を作製し、H-E染色を行うと同時に、Bulk染色を施した100μmの研磨標本を作製して、微小骨折とハバース管の分布・走行を検索した。また、微小領域エックス線回折法を用いた生体アパタイト(BAp)結晶配向性とSHGイメージングによるコラーゲン線維の走行異方性解析、およびMicro CTによる骨塩量(BMD)の解析を行い、骨の質的因子について検討した。【結果】カピバラ新生児の皮質骨において、成長軟骨周囲に一次骨である類骨様構造が認められた。また、BAp結晶配向性は異方性が低く、コラーゲン線維も観察できなかった。一方、成獣では外骨膜下および内骨膜直上に層板骨が観察され、その間に二次骨として多くのハバース層板が観察され、ハバース管周囲には骨細胞がみられた。マイクロクラックはほとんどみられなかったが、多孔化した一次骨の散在を認めた。成獣大腿骨のBAp結晶配向性は骨の長軸方向に対して一軸優先配向を示し、ハバース管周囲にコラーゲン線維が同心円状に走行していた。加えて、成獣のハバース管周囲にはBMDが低値を示す領域が認められた。【考察】成獣カピバラにおいて、新生児にはみられないハバース構造がみられたことは、体重増加に伴う力学環境の変化に対応して二次骨が形成されたと考えられる。

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