[3-P2-P117] 22q11.2欠失症候群モデルの初代軟骨細胞におけるヘテロ型DGCR2遺伝子の発現解析

Author: 〇梶原 景正
Affiliation: 東海大学 医 分子生命
Abstract: “22q11.2欠失症候群は、ヒト22q11.2ゲノム領域のヘテロ型欠失により引き起こされる心奇形・顎顔面形態異常・精神発達遅延などを主徴とする疾患である。我々は、ヒト22q11.2ゲノム領域にコードされるDGCR2の遺伝子機能と本疾患との関連性を検討している。マウスホモログDgcr2(Sez12)遺伝子のノックアウト/GFP遺伝子ノックインマウス(Sez12-KO)を作成し、ホモ型Sez12-KOマウスで頭蓋底軟骨結合の軟骨内骨化の異常、特に肥大軟骨細胞への分化異常を明らかとした。今回、ヒト22q11.2のマウス相同領域がヘテロ型に欠失する変異マウス(Df1マウス, Sez12は欠失してない)とSez12-KOとの交配マウス(ダブルヘテロマウス)を作成し、マウス個体および初代軟骨細胞での組織化学的解析を行った。ダブルヘテロマウスの頭蓋底軟骨結合は、ホモ型Sez12-KOマウスと同程度の形成不全がみられたが、ヘテロ型Sez12-KOマウスやDf1マウスではこのような所見は認められなかった。また初代軟骨細胞では、培養液にTGF-beta投与すると(終濃度25 ng/ml)、Sez12-KO軟骨細胞ではノックインGFP発現上昇、TGF-betaシグナル亢進、X型コラーゲン陽性細胞の著しい減少とともに、II型コラーゲン陽性細胞の相対的増加と線維芽細胞様の形態変化が認められた。これらのTGF-betaによる変化はダブルヘテロ初代軟骨細胞でも認められたが、ヘテロ型Sez12-KOやDf1変異の初代軟骨細胞では、ダブルヘテロ細胞での所見は認められなかった。以上の結果からDGCR2遺伝子は、軟骨内骨化の細胞分化過程でTGF-betaシグナルを抑制性に制御する役割が予想され、同様な遺伝子機能をもつ22q11.2領域内の遺伝子と協調して頭蓋底軟骨結合の形態形成を制御すると考えられる。そしてこれら協調した遺伝子機能のヘテロ型欠失が22q11.2欠失症候群の発症を引き起こすことが示唆される。”

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