[3-P2-P118] 破骨細胞の骨吸収に及ぼすTGF-βの影響

Author: 〇唐木田 丈夫、大熊 理紗子、山越 康雄
Affiliation: 鶴大 歯 生化学
Abstract: 骨基質中には大量のトランスフォーミング成長因子ベータ(TGF-β)が不活性型で蓄えられており、破骨細胞による骨吸収によって放出・活性化される。活性化されたTGF-βは骨芽細胞前駆細胞の遊走を促進することで骨量維持のカップリング因子として働いている可能性が報告されているが、破骨細胞自身に与える影響はまだ明らかではない。また、TGF-βはRANKL誘導性の破骨細胞分化を促進することが報告されているが、破骨細胞の骨吸収作用に対する効果はまだ不明である。[目的] われわれはTGF-βの骨吸収に及ぼす効果を破骨細胞の分化段階の違いで検討することを目的とした。[材料・方法] マウスマクロファージ様細胞RAW264細胞を可溶性RANKLと共に培養し、1日目を破骨細胞分化初期、多核の破骨細胞が出現する培養2日目を分化中期、細胞数が最大になる3日目を分化後期として、それぞれの期間にTGF-β(1ng/mL)を添加してタイミングの違いによる影響を検討した。破骨細胞の骨吸収能の評価は、RAW264細胞を可溶性RANKL(300ng/mL)と共にリン酸カルシウムコーティングしたプレート上で4日間培養し、細胞が溶かしたリン酸カルシウムの面積を測定して行った。[結果および考察] TGF-βはRANKL誘導性破骨細胞の骨吸収を促進したが、その強さはTGF-β添加のタイミングによって差がみられた。培養初期のTGF-β添加群は強い促進効果を示したが、培養中期と培養後期の添加群には促進効果がみられなかった。また、TGF-βの添加期間を初期から中期または初期から後期まで延長すると、TGF-βの初期添加による促進効果が減少した。これらの結果から、破骨細胞の骨吸収に対してTGF-βは分化初期には促進的に、中期および後期では抑制的に作用しており、添加時期によって二相性の作用を持つことが示唆された。

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