[3-P2-P119] 口腔インプラント周囲に出現するosteonal boneにおける骨の質的因子

Author: 〇松永 智1、笠原 典夫2、北村 啓2、小川 雄大2、廣内 英智1、山本 仁2、阿部 伸一1
Affiliation: 1東歯大 解剖、2東歯大 組織発生
Abstract: 【目的】インプラント周囲顎骨において新生されたオステオンが、本来の海綿骨領域に多く新生されることが確認されており、力学環境の変遷にともなって生じたと考えられる。しかし、通常骨の皮質骨とは異なる構造的特性を有しており、力学機能において不明な点が多く残されている。そこで本研究では、ヒトインプラント周囲顎骨の構造解析および骨質解析を行うことで、通常の緻密骨との相違を明らかにするとともに、力学環境との関連性について考察することを目的とした。【方法】口腔インプラントを有するヒト下顎骨から、インプラント体を含む試料を採取した。マイクロCT撮像後、100マイクロメートル厚の研磨標本を作製してインプラント周囲骨におけるオステオンの形態解析を行った。さらに骨質解析として、生体アパタイト(BAp)結晶の配向性の解析とともに、コラーゲン線維束の走行異方性解析を行った。【結果】インプラント体周囲において、本来の海綿骨領域に多数出現したオステオンは、インプラント体近傍においてインプラント体軸方向に平行に、その外側では近遠心方向への走行異方性が認められた。BAp結晶の配向は、下顎体下縁部において近遠心方向への一軸優先配向が認められたが、インプラント体周囲ではオステオンの走行方向への優先配向を確認した。一方コラーゲン線維の走行は、リモデリングを重ねて構築されたオステオンには同心円状に走行するコラーゲン線維に加えて全周にわたり直交する線維が多く確認された。【考察】インプラント周囲において活発なリモデリングの結果形成された骨組織は皮質骨様構造を呈するものの、下顎下縁部とは異なる骨の質的因子を有しており、インプラントを介して加わる負荷を緩衝していくうちに、生体力学的に最適化され新しい恒常性が構築されたことが示唆された。

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