[3-P2-P120] RNA-sequencingを用いた骨細胞におけるメカニカルストレス応答機構の解析

Author: 〇藤田 尚正1,2、田村-辻 潔美2、田村 正人2、佐藤 真理2
Affiliation: 1北大 院歯 麻酔、2北大 院歯 口腔分子生化
Abstract: “[背景-目的]骨組織においてメカニカルストレスは、骨のリモデリングを制御し、骨量維持に寄与することが知られている。我々は以前、骨細胞様細胞(MLO-Y4)、Medaka、Zebrafishを用いた研究により、メカニカルストレスの一つである低出力超音波パルス(LIPUS)刺激が骨細胞に作用し、転写因子を制御することで骨折治癒を促進することを示した。この研究を発展させ、生体内での骨細胞によるメカニカルストレス応答機構を明らかにするために、運動刺激を加えたマウスおよびLIPUS刺激を加えたMLO-Y4を用いて本研究を行った。[方法]6週齢のマウスを6週間運動させ、大腿骨からRNAを抽出した。MLO-Y4をLIPUS刺激し、RNAを抽出した。これらに対しmRNA-Seqを行い発現変動遺伝子(DEGs)を検索し、解析ツールR、DAVIDを用いて可視化とCluster解析およびpathway解析を行った。[結果] 大腿骨およびMLO-Y4のDEGsはそれぞれ146個、179個だった。これらをClusteringすると、大腿骨ではextracellular region、proteinaceous extracellular matrix、Thyroglobulin type-1、MLO-Y4ではDefense response to virus、proteinaceous extracellular matrix、cellular response to interferonが上位だった。共通していたものはproteinaceous extracellular matrix、extracellular region、IGFBPsだった。また共通するDEGsはPim1, Ccn1, Fmod, Fabp4だった。[考察]メカニカルストレスにより骨細胞では、extracellular region、proteinaceous extracellular matrixに関わる遺伝子が多く変動していた。運動刺激およびLIPUS刺激で挙動が一致したものはCcn1だけだった。Ccn1は細胞外分泌タンパク質であり、様々な組織で増殖、分化、血管新生の促進に関与することが知られ、骨組織では骨量を調節することが示唆されている。このことから、メカニカルストレスにより骨細胞がCcn1を分泌することで骨のリモデリングや骨量の維持に関与している可能性がある。”

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