[3-P2-P127] 筋の壊死と再生に対するHMGB1の働き

Author: 〇崎山 浩司1、小野澤 豪1,2、長坂 新1、坂東 康彦1、天野 修1
Affiliation: 1明海大 歯 解剖、2明海大 歯 口腔顎顔面外科1
Abstract: 【目的】High mobility group box 1(HMGB1)は、細胞の核内に存在するタンパク質で生体の恒常性の維持に関与していることが知られている。我々はこれまでマウスの舌に癌細胞を移植した際に、舌癌周囲の筋に与える影響について検索を行った。その結果、癌細胞と癌細胞周囲の壊死した筋細胞だけでなく遠位の筋線維においてもHMGB1が強く発現することを確認した。また一方で、癌細胞によって筋線維が一度破壊された部位では筋が再生してくるが、再生した筋線維およびその領域でHMGB1の発現が認められた。このことからHMGB1は筋の再生にも関与するのではないかと示唆された。【方法】試料はBALB/cAJclヌードマウスを用い、舌尖の左側方にSCC7癌細胞を1回注入し、移植・着床を試みた。注入後、2週、3週、4週経過した後に試料を採取し観察を行った。観察部位は舌中央とし、抗HMGB1抗体、抗RAGE抗体および筋再生初期にみられる抗MyoD抗体と筋衛星細胞のマーカーである抗PAX7抗体を用いて免疫組織化学的染色を行い観察した。【結果および考察】すべての週齢に壊死した筋線維が確認された。筋線維が壊死した部位では、HMGB1とRAGEの発現が認められたが、再生した筋線維の部位では、RAGEの発現はなく、HMGB1が核と筋線維周囲の間質にも局在した。また、筋線維が壊死し空隙となった部位に、中心核をもつ筋細胞が認められた。特に癌細胞から離れた部位では、筋発生初期にみられるMyoDや再生時にみられるPax7の存在を確認したことから、壊死した部位で筋線維が再生されていることがわかった。以上のことより、壊死だけでなく再生においてもHMGB1は関与するのではないかと示唆された。(COI:なし)

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