[3-P2-P134] 成体イモリの顎再生と解剖・組織学的解析

Author: 〇田谷 雄二、川本 沙也華、埴 太宥、工藤 朝雄、佐藤 かおり、添野 雄一
Affiliation: 日歯大 生命歯 病理
Abstract: 【目的】両生類のイモリは組織や臓器の再生能を有することで知られている。本研究では、成体イモリの下顎切除後の再生過程を解剖学的・組織学的に評価した。【方法】成体アカハライモリ(Cynops Pyrrhogaster)の雄を実験に用いた。全身麻酔下で下顎前方より約1/2を切除した。切除から0~96週間にわたって、X線マイクロトモグラフィー(以下、マイクロCT)、ならびに組織学的な手法により下顎組織が再生していく過程を解析した。【結果と考察】組織学的な解析とマイクロCTによる解析の併用から、下顎切除後、1週間で切断面が傷上皮により塞がり、切除3週以降、下顎切断部に再生芽を形成し、この再生芽を基点として諸組織・器官の再生が開始された。下顎はオトガイ方向に向けて伸長しはじめ、早期から血管網の形成は顕著だが、それに遅れて神経軸索やリンパ管の伸長がみられるとともに、舌組織が再生し始めた。下顎骨は切除16週後から再生を開始した。32週前後には左右の下顎骨が正中部近傍まで接近し、下顎アーチを再現するが、その伸長は不完全であり、本来よりも小さな下顎アーチを形成した。この段階ではメッケル軟骨のほかに盛んに歯胚を形成しており、再生した表皮から伸びた歯堤と歯胚が多数観察された。その後、下顎が元のサイズにまで成長するのに切除後60~90週を要し、下顎骨や軟骨、舌、唾液腺、歯、骨格筋などが元の状態に組織再生しているのが確かめられた。【結論】以上のことから、成体アカハライモリの再生では、再生芽を形成後、下顎内の諸組織を再生しながら本来よりも短い下顎アーチを形成し、その後、下顎全体を元のサイズへと復元していくことが示唆された。本研究はJSPS科研費#18H04061の助成を受けた。【会員外共同研究者】筑波大学・生命環境系・再生生理 千葉親文、慶応義塾大学・医学部・形成外科 貴志和生、石井龍之。

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