[1-P1-PM03] Gタンパク質共役型受容体Gpr111/Adgrf2はエナメル質の石灰化を制御する

Author: 〇千葉 雄太1、吉崎 恵悟2、田 甜2、千葉 満生3、韓 旭1、稲田 幸織1、福本 敏1,3
Affiliation: 1九大 院歯 小児口腔、2九大 院歯 矯正、3東北大 院歯 小児歯
Abstract: Gタンパク質共役型受容体(GPCR) Gpr111/Adgrf2はAdhesion GPCRグループVIに属し、機能およびリガンドが未報告のオーファン受容体である。我々はこれまでの研究により、Gpr111と同グループであるAdhesion GPCRグループVIに属し、Gpr111の重複遺伝子であるGpr115/Adgrf4がエナメル質の石灰化に重要な役割を持つことを明らかにした。そこで本研究では、歯の発生過程におけるGpr111の機能を探索した。歯の発生過程におけるGpr111の発現を検討した結果、Gpr111は成熟期歯胚のエナメル芽細胞および中間層細胞に強く発現していた。Gpr111欠損マウスを作成したところ、8週齢Gpr111欠損マウスでは切歯に白濁がみられ、エナメル質形成不全を呈することが示唆された。マイクロCTによりGpr111欠損マウスの表現型を解析した結果、野生型マウスに比較してエナメル質体積および密度が減少していることが明らかとなった。加えて、走査型電子顕微鏡を用いてエナメル質構造を解析したところ、Gpr111欠損マウスではエナメル質の形成が部分的に阻害されていた。さらにSEM-EDXによる元素分析を行なった結果、エナメル質形成不全部位においては炭素の含有量が多く、有機質が残存していることが示唆された。以上の結果より、Gpr111はエナメル質の石灰化に重要な役割を有することが示唆された。さらに前述の背景を踏まえ、Gpr111;Gpr115二重欠損マウスを作成しGpr111とGpr115が機能的冗長性を有するか検討した。その結果、Gpr111;Gpr115二重欠損マウスはエナメル質形成不全を呈し、マイクロCT解析では野生型マウスに比較しエナメル質体積の減少を認めた。しかしながら、Gpr111欠損マウスおよびGpr115欠損マウスに比較し、Gpr111;Gpr115二重欠損マウスではエナメル質形成不全の特徴に大きな変化はみられなかった。以上の結果より、Gpr111およびGpr115はそれぞれ独立した機能を有し、エナメル質石灰化に重要な機能を果たすことが示唆された。

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