[1-P1-PM34] エナメル上皮腫におけるRAF1-MAPK依存性の低分子量Gタンパク質ARL4Cの高発現は腫瘍細胞増殖と破骨細胞形成を促進する

Author: 〇小倉 萌1、藤井 慎介1、自見 英治郎2,3、清島 保1
Affiliation: 1九大 院歯 口腔病理、2九大 院歯 OBT研究センター、3九大 院歯 口腔細胞工学
Abstract: 歯原性腫瘍であるエナメル上皮腫は良性腫瘍に分類されるが、広範な顎骨吸収を呈して、臨床的にも重要な腫瘍と考えられる。最近、エナメル上皮腫におけるBRAF遺伝子の機能獲得型変異(BRAF V600E)を介したMAPKの異常活性化について報告された。発表者らの研究室では、口腔領域の発生過程および腫瘍形成における低分子量Gタンパク質ADP-ribosylation factor (ARF)-like 4c (ARL4C)の発現と機能解析を行っている。ARL4CはEGF-MAPKシグナルの活性化により発現が誘導され、ヒト各種癌腫の細胞増殖を介した腫瘍形成を促進することが報告されている。一方、エナメル上皮腫におけるその発現と機能は不明である。本研究では、ヒトエナメル上皮腫症例におけるARL4Cの発現と機能について解析することを目的とした。免疫組織化学的検索の結果、エナメル上皮腫症例においてARL4Cは腫瘍細胞特異的に約7割の高頻度にて発現していた。また、ARL4Cの発現はBRAF V600E変異およびRAF1と共局在することを見出した。さらに、エナメル上皮腫細胞株AM-1はARL4Cを高発現しており、siRNAや特異的阻害剤を用いて機能抑制実験を行ったところ、その発現はBRAF V600E変異に依存しておらず、RAF1に依存していた。また、AM-1においてCRISPR/Cas9法を用いてARL4Cを機能抑制すると、その増殖能が抑制された。加えて、マウス骨髄細胞と骨芽細胞にAM-1を共存培養したところ、AM-1におけるARL4Cの発現が破骨細胞の形成に必要であった。これらの結果から、エナメル上皮腫において、ARL4CはRAF1- MEK/ERKシグナルにより発現が誘導され、ARL4Cの発現はエナメル上皮腫の腫瘍形成(細胞増殖)および破骨細胞形成に必要であることが示唆された。

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