[1-P1-PM35] 口腔扁平上皮癌における上皮-間葉転換制御と上皮内進展・間質浸潤

Author: 〇阿部 達也1、山崎 学1、丸山 智2、田沼 順一1
Affiliation: 1新潟大 院医歯 口腔病理学、2新潟大 医歯病  病理検査室(歯科)
Abstract: “【背景】口腔扁平上皮癌の病理組織標本において, 癌組織は非癌組織との間に境界面を形成することが認識されている. この境界面は病理診断における重要な組織学的所見の一つであるが, 癌-非癌境界における癌細胞動態は不明な点が多い. これまでに口腔扁平上皮癌 (OSCC) の病理組織標本を用いた蛋白質網羅的 解析により, ladinin-1 (LAD1) が非癌組織に近接する癌組織で高発現することを報告した (Abe at al. 2017). そこで, 癌の進展におけるLAD1 の機能を検討することとした.【方法】OSCC培養細胞株 (HSC-2, 3, 4) を用いたsiRNA発現抑制実験により, LAD1 の細胞内機能解析を行った. 【結果と考察】LAD1抑制細胞はwound healing assayでは細胞遊走能の低下・time-lapse 動画解析では細胞移動速度の低下を示した. 一方, transwell migration assayでは遊走促進・コラーゲン ゲル上培養法ではゲル内への癌細胞の浸潤能の増加 という相反する結果を示した. また, 免疫蛍光法では, LAD1は細胞内の actin arc に局在しており, LAD1 発現抑制下ではlamella 伸展が低下し,細胞面積減少や不規則な細胞突起の伸長が特徴的であった. さらに, LAD1抑制細胞には 上皮間葉転換 (EMT) 関連遺伝子発現変動を示し, vimentin 陽性細胞率の増加, E-cadherin 膜陽性像の減少を示したことから, EMT 現象における 間葉性表現型の発現が示唆された. 【結論】LAD1 は癌細胞の平面遊走を正に, 垂直遊走を負に制御しているとともに, EMT と関連した上皮性表現型の維持に関連し, 癌の上皮内進展と間質浸潤の調整に重要な役割を果たしている可能性が示唆された.”

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