[2-P1-P10] Porphyromonas gingivalisにおける一過的な遺伝子発現系の構築

Author: 〇庄子 幹郎、内藤 真理子
Affiliation: 長崎大 院医歯薬 口腔病原微生物学
Abstract: 【目的】Porphyromonas gingivalisは慢性歯周炎に関わる病原細菌である。本菌の病原因子として、菌体表面のジンジパインプロテアーゼやなどが知られている。これらのタンパク質の輸送機構を研究する方法として、一過的な遺伝子発現系は有益である。今回、本菌における一過的な遺伝子発現系の構築を試みた。【方法】 本菌の一過的な遺伝子発現系としてTet-on発現系を用いることとした。 tetR遺伝子を含むanhydrotetracycline(aTC)誘導性プロモーターDNAをPCRにて増幅し、そのDNA断片をmfa1mfa2 :: ermF targeting plasmid内に挿入した。目的遺伝子は誘導性プロモーターの後に挿入した。【結果】本菌においてsacB遺伝子を一過的に発現した場合の影響を調べた。 スクロース含有BHI液体培地において、aTCを添加した場合では明瞭な増殖抑制を認めた。一方、スクロース非含有BHI液体培地では、aTCの有無に増殖の差は無かった。次に、この系でfimAシグナル配列とHisタグを持つルシフェラーゼ遺伝子(fimAsigN-luc-His)が誘導されるか否かを調べた。 fimAsigN-luc-His遺伝子はaTC含有下で十分に発現し、fimAシグナル配列にはリポタンパク質輸送系の認識配列があるので、その遺伝子産物は主に培養上清で検出された。一方、リポタンパク質輸送系を利用できないfimAsigN [C19A]-luc-HisはaTC含有下で十分に発現したが、その遺伝子産物は菌体画分に検出された。【考察】aTCを用いてsacB遺伝子を誘導すると増殖抑制が起きたことから、本菌にて一過的な遺伝子発現系が作動すると考えられる。また、この発現系を用いてリポタンパク質輸送系の構築に成功した。この方法を用いることで、本菌のリポタンパク質輸送系を詳細に調べることができると考えられる。(会員外共同研究者:末吉峻幸)

メールで問い合わせ

0

コメント

タイトルとURLをコピーしました