[2-P2-P49] 神経障害性疼痛におけるミクログリア活性阻害の効果

Author: 〇寺山 隆司、内部 健太
Affiliation: 広大 院医系科学 顎顔面解剖
Abstract: 末梢神経損傷後に脊髄後角でのミクログリアの活性化が起こり、このような変化が神経障害性疼痛の発症に関与していると考えられている。我々は近年、脊髄後角2次ニューロンに対する侵害情報伝達の指標であるc-Fosとリン酸化型ERKの蛍光二重免疫染色を用いて、末梢神経損傷が脊髄後角ニューロンに対する過剰な収斂投射を引き起こすことを報告した。本研究では神経損傷後の脊髄後角ミクログリアが収斂投射および神経障害性疼痛の発症と持続にどのように関与するかについて検討した。末梢神経損傷モデルとしてラットの脛骨神経の結紮・切断を用いた。行動学的指標による検討において、脛骨神経損傷後3日で触および熱刺激に対する一時的な低感受性が見られたが、神経損傷後14日で触および熱刺激に対して高感受性の状態となった。ミクログリアの活性抑制剤であるミノサイクリン(30 mg/kg/day)を神経損傷当日から8日間連続で腹腔内投与したところ、脊髄後角でのミクログリアの細胞マーカーであるOX-42蛍光免疫陽性像の神経損傷による増強が抑制されるとともに、神経損傷後14日での触覚および熱刺激に対する高感受性が抑制された。また同様のミノサイクリン投与により脊髄後角二次ニューロンに対する侵害受容一次ニューロンからの過剰な収斂投射が抑制された。しかしながら神経損傷後7日目から8日間連続でミノサイクリンを投与した場合、ミクログリアの活性化、収斂投射および触および熱刺激に対する高感受性の抑制効果は見られなかった。これらの結果は末梢神経損傷後のミクログリアの活性化が脊髄後角ニューロンに対する異常な侵害受容入力と神経障害性疼痛の発症において重要な役割を果たしていることを示している。

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