[3-P1-P097] 海生爬虫類モササウルス類化石を基にしたセメント質の起源の解析

Author: 〇三島 弘幸1、千葉 敏江2、見明 康雄3
Affiliation: 1鶴見大 歯 歯科理工、2鶴見大 歯 中央電顕室、3鶴見大 歯 解剖
Abstract: “恐竜やモササウルス類を含めた主竜類Archosauursは歯槽が存在するとの報告がある(Bertin et al., 2018;Caldwell et al, 2003; Liu et al, 2016)。白亜紀後期に生息していた海生爬虫類モササウルス類は日本のみならず広く世界中から産出されている。近年モササウルス類の歯はセメント質を有し、槽生性結合であるとの報告がなされているが、セメント質に関する組織学的な詳細な研究は少ない。本研究の目的は、モササウルス類のセメント質の組織構造や顎骨との支持様式を解析することである。材料はモササウルス類3種化石(白亜紀、海生爬虫類、モロッコ産)を用いた。試料は実体顕微鏡、deigital microscopy、SEM、SEM-EDS、X線μCT、X線分析顕微鏡などを用いて、解析を行った。モササウルス類の顎骨では原始的な歯槽(sub-thecodont)の存在が確認できた。歯槽に埋入している歯根象牙質の厚さは歯冠象牙質に比較して薄かった。象牙質の成長線が確認された。またワニ類に比較して、歯髄腔の形態に違いが認められた。モササウルス類のセメント質では、無細胞セメント質と有細胞セメント質が確認できた。有細胞セメント質にはワニ類や哺乳類のセメント質と異なり、血管孔が存在していた。血管孔の大きさは有細胞セメント質では小さく、顎骨では大きく、ハバース管が観察された。有細胞セメント質は顎骨と骨性結合しているが、その境界は不明瞭であった。顎骨では、象牙質やセメント質に比較してFeがやや密に分布していた。モササウルス類は歯根膜が存在せず、歯の形成や萌出はワニ類と異なると考察される。セメント質や槽生性結合の起源は白亜紀あるいはそれ以前である可能性が示唆された。”

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